紙をめぐる話|紙の向こう側 No.01

All-winの
カカオ殻パッケージ

社会や産業、環境問題の先端で活動する
企業の取り組みを、紙を通してリポートする
新企画「紙の向こう側」。
今回は、農家を含めた関係者全員を
大切にするという思想を商品パッケージにまで
貫き通しているチョコレートブランド、
dari Kの吉野慶一さんにお話をうかがいました。

初出:PAPER'S No.65 2022 夏号

Dari K 株式会社 代表取締役 吉野慶一さん

生産者、消費者、環境、みんなが笑顔になれる「All-win Chocolate」の実現をめざしているチョコレートブランドdari Kの創業者。

そのものの良さを引き出す

dari Kのチョコレートは、余計な手を加えず、原料そのもののおいしさを引き出すことを大切にしています。その考え方を梱包にも生かしたのが、現在のカカオの殻入りのモールドパッケージです。カカオの殻はチョコレート製造過程の副産物として常に発生するもの。「お客さんとの接点で有効活用する方法はないでしょうか」と竹尾さんに相談し、その中で浮かんだのがパルプモールドに配合するというアイデアでした。

そろっていないところがいい

パルプモールドというアイデアは良かったのですが、開発途中で想定外のことが起きました。量産してみると、それぞれのパッケージで少しずつ色が異なるのです。研究を続ければ統一することもできたかもしれませんが「そこがいい」と私たちから竹尾さんに提案しました。dari Kは産地、年、作り手によって違ってくる味をあえて均一化させず、個性として価値にしているブランド。その考え方を、お客さんが直接触れるメディアである商品パッケージからも感じてもらえたらと。

捨てられるものから生まれる価値

「All-win Chocolate」を掲げる私たちは、すべてのカカオ農家の顔を知っていて、お客さんとともに現地の農園を訪ねる交流ツアーも重ねてきました。だからカカオの殻さえも愛おしいという気持ちがある。このパッケージによってdari Kはそんな思いを伝達でき、お客さんは喜んでくれ、竹尾のビジネスになり、モールド工場の仕事にもつながり、と元々は価値のない殻から新たな価値が次々と生まれています。循環経済を謳いながら生産工程の上流まで還元できている企業が少ない世の中で、私たちはそれを確実に実現していきたいと思っています。

竹尾のモールド事業

「ファインモールド」についてのお問い合わせ
株式会社竹尾 営業開発部 新規事業推進チーム
https://fineflutefinemold.com

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