紙をめぐる話|紙の生まれる風景 No.08
特種東海製紙 三島工場 |
紙づくりには大量の水を使う。
製紙工場は美しい水が豊富にある地域につくられる。
だからこそ、使った水はきれいにして地域に戻す。
これが鉄則だ。
工場内で使われた水は、最後の最後に
「セジマート(凝集沈殿槽)」と呼ばれる装置で
浄化されて、また自然へと還っていく。
簡単に言えば、水の中にある繊維の残滓など、
余計なものだけを集めて、固めて、
重力を利用して沈殿させて除去し、
きちんと浄化された水だけを河川に戻すという仕組みだ。
除去された汚泥物は工場内で燃やして、
その熱を利用して発生させた蒸気は、
紙を乾燥させるために使われる。
燃やされた汚泥物の灰は、
レンガやブロックとして再生されたり、
セメント用の骨材として建設資材に使われたりする。
工場での紙づくりは、こうして終わる。
自然の恩恵に感謝して、水を還していくのだ。
初出:PAPER'S No.41 2012 夏号
※内容は初出時のまま掲載しています