紙をめぐる話|紙の生まれる風景 No.06
三菱製紙 八戸工場 |
製品倉庫。
そこは工場でできた紙がたどりつく最終地点だ。
同時に、紙が日本全国へと旅立つ出発点でもある。
完成した紙の並ぶ3号製品倉庫には、
出荷用のコンテナ列車がじかに乗り入れるホームがある。
この場所で、庫内の紙はコンテナに積み込まれるのだ。
敷地のなかを走る線路は、鉄道が陸上運輸の主力だった
昔からながらくこの北の地で工場が営まれてきた証だ。
線路は工場を抜けて市街地へと続き、一般鉄道に合流する。
ひとつのコンテナに入る紙の量は、およそ5トン。
コンテナ列車は、多い時で一度に
300トンもの紙を載せて走る。
それらの紙は1日から2日ほどで日本各地に運ばれ、
やがて、人々の手元へと届けられる。
倉庫の片隅からのびる1本の線路。
そこから始まる紙の流れが、支流を無数に広げ、
私たちのすぐそばまで続いている。
初出:PAPER'S No.37 2011 春号
※内容は初出時のまま掲載しています