贅の分解 |
いにしえより日本の人々が
心を通わせてきた四季のうつろいを、
日本料理を材として写真と詩歌と散文で綴った書籍
『晴れの日本料理 青草窠のひと刻』。
静かな佇まいでありながら、
千年にわたる日本文化の豊かさを
雄弁に語りかけてくる特装版の装丁に秘められた、
多様な贅の細工をひも解きます。
初出:PAPER'S No.59 2019 夏号
※内容は初出時のまま掲載しています
伝統と現代の重なり
三年余をかけて緻密に形作られたこの書籍には、紙から製本、印刷まで、どこを切り取っても歴史や文化の風格が漂います。それでいて今日の書籍に並べてもすんなりと馴染むのは、伝統と現代の素材やあしらいを随所でコラボレーションさせているから。たとえば表紙には唐紙を、本文にロベールを用いることで古雅な風合いにシャープな質感を調和させるなど、千年の時と現代の途切れのない連なりを感じさせる設えが、様々に織り込まれています。