波、波、波 |
保護する、運ぶという仕事を日々、淡々とこなす段ボール。takeo paper show 2018の「ハレの段ボール、その成型」ではそんな本来の無骨で寡黙な姿から、彩りと自由度をまとった非日常の存在として鮮やかに生まれ変わりました。今回は、日常使いとしての段ボールにふたたび目を向け、意外と知られていない「強度」の秘密をひも解きます。
取材協力:王子産業資材マネジメント株式会社
初出:PAPER'S No.58 2018 秋号
※内容は初出時のまま掲載しています
波を連ねるという知恵
一般に段ボールは、中芯と呼ばれる波状の紙(フルート)を表裏の紙(ライナー)で挟んだ三層構造でできています。段ボールはフルートの高さによって種類が分けられており、必要な用途や強度に応じて選択されます。フルートによる隙間は一見頼りなく感じますが、実はこの波と波の連なりこそ、トラス構造という段ボールの強さの秘訣。受けた力を波の頂点を通して左右に分散させるので、強度と安定性を保つことができるのです。シンプルながら画期的なこの構造は、驚くことに、段ボールの誕生以来100年以上に渡って変わっていません。さらに、フルートを重ねたり、紙を変えることによって強度を緻密にコントロールすることも自由自在です。