紙をめぐる話|紙の研究室 No.09

ファインペーパーの古典
─アングルカラー

アングルカラーは誕生してから来年で60年。ファインペーパーの古典ともいえるシリーズの中から、この紙に注目。当時、世の中にどのように受け入れられ、またその質感、印刷との相性はどのようなものか、ご紹介します。

初出:PAPER’S No.40 2012年 春号
※内容は初出時のまま掲載しています

アングルカラーとは

1953年発売のファインペーパーです。伝統的なレイド(簾の目)模様と抄き込まれた着色繊維が生み出す、独特の風合いが特徴です。



四六版Y目|90kg、130kg|全9色(きぬ白、はいじろ、しろがね、濃鼠、すみ、すずらん、とのこ、くるみ、黒茶)|ミニサンプルB-2収録

印刷実験

アングルカラーにオフセット印刷、オペークインキ、バーコ印刷を試してみました。同じインキでも紙によって、刷り上がりの表情が異なることがわかります。色の変化と紙地との馴染みが色紙への印刷の醍醐味ともいえます。

 

原弘とアングルカラー

製紙メーカー、デザイナーの方々とともに紙を開発する伝統。それはグラフィックデザイナー・原弘と製紙メーカー・特種東海製紙、そして竹尾三代目社長・竹尾栄一が三位一体となって生み出したアングルカラーが先駆けといえるでしょう。落ち着いた質感と色調をもつフランス・キャンソン社の木炭紙をベースに、さらに新しい感覚を出そうと、STカバーを基に数種の着色繊維を配合し、研究を重ねて完成したのが、アングルカラーです。発売時には27色もの色展開がありましたが(現在は9色)、それだけの紙をつくり、大量にストックしておくことは、当時かつてない冒険でした。紙地の色、レイドの落とす柔らかな陰影、抄き込まれた着色繊維の色が織りなす複合的な色調と風合いは、とても新鮮なものとして市場に迎えられ、次々に新しい紙の開発をする糸口ともなりました。

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