機能紙をご存知? |
ものを大事に残したい。いつまでもそのままで取っておきたい。保護紙はそうした気持ちから生まれた紙です。本をはじめとする紙資料や、絵画、写真といった美術品は長い目で見るといろいろな要因で少しずつダメージを受けるもの。それらの要因を防いで紙をまもるのが「保護紙」の役割です。紙を扱うとき、つい表面加工や印刷内容ばかりを気にかけてしまいがちですが、これからはそれをどうやって長く保存していくか、自分にとって、本当に大切にまもっていきたいものはなにか、という側面に目を向けてみてはいかがでしょう。今回は保護紙のさまざまな活用方法をご紹介します。
初出:PAPER’S No.38 2011 夏号
※内容は初出時のまま掲載しています
紙資料を劣化させる要因
光、汚染ガス、虫、小動物、人災、天災、チリ、ホコリ、カビ、温湿度の変化などの外的な要因が資料にダメージを与えるほか、紙そのものに含まれる酸性物質が紙の劣化を招くことが問題視されていました。その対策として中性紙の開発と普及が進められています。
保護紙とその活用方法
保護紙は良質な化学パルプなどを原料に、アシッドフリー(無酸)で弱アルカリ性に仕立てられています。 急激な温湿度変化を和らげる、資料を光や水分などからまもる、移動時の摩擦を防ぐ、などの効果があります。 大切な資料の保管場所の状況を大々的に改善することが難しい場合でも、まずはそれぞれの資料に適した保護紙を使って収納するだけで、多様な外部劣化要因から資料をまもることが可能です。