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  • 「ヒロシマ・アピールズ」2024年版ポスター

「ヒロシマ・アピールズ」は、公益社団法人日本グラフィックデザイン協会[JAGDA]広島地区と、
公益財団法人ヒロシマ平和創造基金、一般財団法人広島国際文化財団が主催する活動です。
「ヒロシマの心」を言葉を超えて訴えるポスターをボランティアで共同制作、国内外に平和を呼び掛けています。
 
1983年に故・亀倉雄策氏の「燃え落ちる蝶」が発表、その後8年間、毎年1点ずつ新しいポスターが制作されました。
ポスターは「平和ポスター展」として全国各地で巡回展示、85年にスイス・ジュネーブで開かれた原爆資料展、
97年の欧州ヒロシマ展で紹介されるなど、海外でも反響を呼びました。
戦後60周年を迎えた2005年を機に制作を再開され、株式会社竹尾はポスター用紙を提供しています。
 
 
2024年の作家は、副田高行氏です。
ポスターのタイトルは『遺品が訴えるもの』。

遺品が訴えるもの
 
戦後五年たって生まれた私には、とうぜん戦争の実感はとぼしい。戦後の空気はのこっていたが、毎年くりかえされる報道で、戦争のむごさや平和のたいせつさを感じていた。世界では、いまだに戦争がつづいている。人類は、いつまであやまちをくりかえすのだろうか。
「ヒロシマ・アピールズ」の指名があり、どうしたものかとしばらくは呆然としていた。ポスター一枚で、原爆のおそろしさ、平和、戦争反対をとなえることは、とてもたいへんな作業だとおもう。そんなこと自分にできるのか。私はふだん広告制作を生業としている。だから、デザイナーが頭のなかで描くイメージではなく、もっとリアリティのある表現はできないかと考えた。
当時の資料をしらべていくなかで、『ひろしま』という石内都さんの写真集にいきあたった。それは、出版社から依頼され、広島平和記念資料館・遺族同意のうえで撮影されたものだった。なかでも私の目をひいたのは、被爆者がその日身につけていた衣服だった。それはもちろんちぎれ、やぶれている。石内さんの解説によると、おおきなライトボックスの上において撮ったそうだ。その逆光の効果もあってか、不謹慎かもしれないが、悲惨さと同時にうつくしいとおもった。生なましさは消えて、おそろしいその瞬間をみごとに、象徴的に写しとっていると感じた。これなら、原爆のおそろしさを直截ではなく、シンボリックにつたえられるとおもった。この遺品は訴える。「あのできごとを、忘れるな」ということを。
石内さんの了解をえて、そのなかの一枚でポスターをつくった。現在でも遺族がたいせつに保管していた遺品が、毎年寄贈されるという。石内さんは、その後も毎年広島にいって撮影を行なっているそうだ。

副田高行


使用紙: アラベール-FS スノーホワイト 四六判Y目130kg 
印刷加工:油性オフセット5色印刷(プロセス4色+特色スミ)[TOPPAN株式会社]

詳細は、JAGDA広島地区ウェブサイト(外部サイト)をぜひご覧ください。
また、こちらのポスターは、「ヒロシマ平和ポスター展 2024」他にて展示されるほか、
1枚1,100円(税込)にて一般販売されます。
 
・「ヒロシマ平和ポスター展 2024」
これまでの「ヒロシマ・アピールズ」全ポスターが展示されます。
会期:2024年8月25日|日|―8月30日|金| 10:00-19:00(最終日は17:00まで)
会場:旧日本銀行広島支店
   〒730-0036 広島市中区袋町5-21 map
主催:公益社団法人日本グラフィックデザイン協会[JAGDA]広島地区 他
料金:無料

・広島市内のバス停へのデザイン掲示
期間:2024年7月29日|月|―8月11日|日|

・「日本のグラフィックデザイン2024」展
本年ポスター『遺品が訴えるもの』および第1回ポスター(デザイン:亀倉雄策、1983年)が展示されます。
会期:2024年7月12日|金|―8月25日|日|
料金:無料
 
>>「ヒロシマ・アピールズ」について(外部サイト|日本グラフィックデザイン協会[JAGDA]広島地区)
>>公益社団法人日本グラフィックデザイン協会[JAGDA](2024年7月12日付)
 

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