紙をめぐる話|紙の生まれる風景 No.17
コルデノンス |
小道の角を曲がると、巨大なパルプの山が目に入った。
隣に建つのは隅々にまで長い歴史の痕跡を残す屋舎。
ヴェネツィア北東、雄大なアルプス山脈を仰ぐ
のどかな町の中にコルデノンス社の製紙工場はあった。
工場が建てられたのは1800年代後期。
国の文化財に指定されており、修復を重ねながら
今でも200年前の姿を守っているそうだ。
世代から世代へ、古来の知識や技術を手渡していく。
イタリアの文化や芸術が繰り返してきたこの姿勢は、
コルデノンス社のあり方にも重なる。
培ってきた知見や価値観を大切にし、それを生かして、
表現や質に秀でた唯一無二の紙を生み出す。
そんな理念が、欧州での比類なき地位を確立させた。
伝統こそ原点。伝統こそ未来である。
初出:PAPER'S No.52 2016 夏号
※内容は初出時のまま掲載しています
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